土地区画整理事業 最高裁判例変更 原告資格拡大の流れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008091102000100.html

<解説> 土地区画整理事業の計画決定段階で行政訴訟を提起できるとした十日の最高裁大法廷判決は、住民側を「門前払い」せずに、着工前から事業計画の違法性について司法がチェックできる道を開いた。

 行政側が土地を強制的に収用できる道路建設などでは計画決定の段階で訴えることが可能になっていたが、土地区画整理のように収用を伴わない事業については下級審で判断が分かれていた。

 過去の判例は「計画決定は『青写真』にすぎない」として住民側の訴えを退けていたが、計画に反対する住民からは「工事が進み、既成事実が積み重なってから訴えても救済は難しい」との批判があった。今回の大法廷判決は、住民の権利が侵されている現実を直視した判断として評価できる。

 行政を訴える際の手続きを定めた行政事件訴訟法が二〇〇四年に改正され、訴えることのできる原告の資格の枠は広がりつつあった。小田急線高架化事業をめぐる行政訴訟で〇五年の最高裁判決は、地権者ではない反対住民に原告としての資格を与えた。今回の判決もこの流れに沿ったものといえる。

 国土交通省によると昨年十二月現在で土地区画整理事業をめぐって約九十件の訴訟が係争中。約十四件に一件の割合で訴訟が起きている計算だ。住民の意見が計画に反映されているのか疑わしい。

 早期に訴える道は開かれたが、計画の違法性についての実質審理と並行する形で事業が進めば、最終的に住民の権利救済が果たされるのか不透明だ。住民の声に耳を傾けて街づくりを行う基本姿勢が行政には求められている。 (寺岡秀樹、<1>面参照)
原告団「やっと土俵に乗れた」

 「やっと土俵に乗ることができた」。土地区画整理事業をめぐり、計画決定段階での住民の提訴を認めた十日の最高裁判決。原告側は安堵(あんど)の表情を見せた。一方で、判例の見直しが遅れたことには憤りを示した。

 原告の地権者らは、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し「大きなことを成し遂げることができた」と判決を評価した。

 原告団代表の中村誠さん(69)は「市は地権者に十分な説明をせず、同意もなく工事を進めている。住民無視だ」とあらためて市の対応を批判。「審理が静岡地裁に戻り、われわれの主張ができることを期待している」と述べた。

 しかし提訴から四年が経過。整理地では既に道路工事が始まり、一部の地権者には仮換地が指定されているといい、代理人の弁護士は「裁判所が一九六六年の判例固執し、四年間のロスが出た。司法の責任は重い」などと述べ裁判所の姿勢にも不満を示した。

最高裁判例、42年ぶりの変更です。
住民の権利救済の観点からは当然のことと思われます。


ほかにも・・・
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080911ddm001040015000c.html
http://www.asahi.com/national/update/0911/TKY200809100312.html
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080911ddm002040075000c.html